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量子ネットワーク・デバイスドライバの開発・公開

2025/10/24

代表の永山がPMを務めるムーンショット目標6(スケーラブルで強靭な統合的量子通信システム)の成果として、量子ネットワーク実験のためのオープンソース・デバイスドライバをGitHubで公開しました。

PnPQ は、テストベッドにて光学デバイスを制御するためのPythonパッケージです。従来はベンダーごとに異なるユーティリティや独自スクリプトを併用しており、単位系の取り違えやログの欠損が起きやすいという課題がありました。PnPQにより、複数デバイスで共通のAPIの使用や常時のロギングが実現し、再現性の高い自動化と保守性の高い実験スクリプトが可能になりました。Pintを用い、装置内で使用される単位を物理的な単位へ自動で相互変換します。Thorlabs や OzOpticsの各テストベッド機器で制御が可能です。

tdc_toolkit は、time-to-digital converter(TDC)を制御するオープンソースの Rust ライブラリです。Rustはコンパイル言語でランタイムのオーバーヘッドが小さく、継続的なtime tag処理では低レイテンシと安定したスループットを得やすい傾向があります。装置情報照会とタイムタグ収録を可能にし、収録データは Apache Parquet 形式で保存できます。CLIとRustライブラリを備え、実験パイプラインへ容易に組み込めます。

どちらもノード側がPCから設定パラメータと制御指示を受け取る構成です。

PnPQ(光学デバイス制御)

tdc_toolkit(タイムタグ取得)

PnPQとtdc_toolkitは、それぞれデバイスの制御と記録を可能にします。これらを併用することで、テストベッドの状態と操作の実行結果を記録できます。どちらもダッシュボード上で状態を把握できるため、実験環境を監視しながら、各シーケンスのタイムラインの進行に差異がないかを確認して進めることができます。実験後に PnPQ の操作履歴と time-tag ファイル群を同一セッションとして整理し、解析を行うことも可能です。

関連リポジトリ一覧は moonshot-nagayama-pj の GitHub をご覧ください。